Anthropic Instituteが2026年9月、AIが2030年までの米国の雇用・賃金・経済成長に与える影響を試算しました。小規模・中規模・大規模の3つのシナリオを、6枚の図で見ていきます。
いずれもAIの進歩や普及の条件を変えた試算で、実測値や確定的な予測ではありません。
**知識労働から、別の職種へ何人が移るのか**
下の3図は、全労働者を100%として、2026〜2030年の職種の変化を示しています。知識労働者は管理職・専門職・営業・事務などで、出発点の割合は62.2%です。
黄色は知識労働に残る人、青色はその他の職種、赤色は移行が必要な人です。図中の「避難民」は誤訳で、ここでは元の仕事を失う人を意味します。
これらの割合は、知識労働者だけを分母とする数字や、通常の失業率とは異なります。
小規模:知識労働に残る人は全体の61.9%。元の仕事を離れる人は0.3%で、図ではほぼ同じ0.3%が別の職種に移ります。職種の構成は大きく変わりません。

中規模:知識労働に残る人は59.7%に減ります。離れる2.5%のうち、1.8%は別の職種へ移りますが、0.7%は2030年時点でも移行できていません。

大規模・極端:知識労働に残る人は48.7%まで減ります。離れる13.5%のうち、移行できるのは5.2%で、8.3%は移行できないまま残ります。

大規模では、仕事を離れる人に対して、別の職種への移行が追いつかないことが図から分かります。
**失業率は、職種によって逆方向に動く**
2030年の米国全体の失業率は、小規模3.9%、中規模4.6%、大規模11.9%です。
大規模では、知識労働者の失業率が17.9%に上がる一方、その他の職種では3.9%に下がります。全体平均だけでは、この職種間の差は見えません。

**平均賃金が上がっても、知識労働は減収**
中規模では、知識労働の賃金は−0.3%、その他の職種は+5.9%です。大規模になると、知識労働は−11.5%、その他は+33.6%まで差が広がります。
大規模での平均賃金は+9.7%ですが、全員が豊かになるわけではありません。賃金の増減は、2030年の「AIの影響がない場合」との比較です。

**GDPは増えても、労働者への分配割合は低下**
2030年のGDP(国内総生産)は、小規模34.1兆ドル、中規模36.3兆ドル、大規模44.4兆ドルです。一方、労働者に分配される割合は、59.4%、56.1%、45.2%へと下がります。
大規模では、資本側の取り分が54.8%となり、労働者側を上回ります。図中の「首都」は「資本」の誤訳で、企業や設備などの所有者側を指します。GDPは2025年価格での金額です。

出典:Anthropic Institute「Economic Scenarios for Transformative AI」表3(2030年初めの値)/公式シナリオ解説




