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GPT-6 Astraがナポレオン時代の暗号書簡を解読

AIテクノロジー蝦名樹読了 4分

AIエンジニアのCarter Church氏は9月30日、GPT-6 Astraを使い、217年前にナポレオン配下の将軍へ送られた暗号書簡を解読したと報告しました。読みにくい画像から約1,300個の暗号記号を読み取り、資料調査、解読用プログラムの作成、書簡の年代の見直しまで進めた事例です。

AIエンジニアのCarter Church氏は9月30日、GPT-6 Astraを使い、217年前にナポレオン配下の将軍へ送られた暗号書簡を解読したと報告しました。読みにくい画像から約1,300個の暗号記号を読み取り、資料調査、解読用プログラムの作成、書簡の年代の見直しまで進めた事例です。

本人によると、AIの実行時間は約6時間でした。ただし、本人も数晩にわたって作業しており、研究全体が6時間で終わったという意味ではありません。

どんな手紙だったのか

対象は、ナポレオンの将軍オーギュスト・ド・マルモンに宛てた軍事書簡です。冒頭の1行は通常のフランス語ですが、その後には数字や文字、独自の記号を組み合わせた暗号が24行続いています。

この書簡は1969年のフランスの軍事史雑誌に画像として掲載され、歴史暗号を集めたサイト「Cryptiana」でも長年、未解読として扱われていました。Church氏は、その画像を出発点に解読へ取り組みました。

AIはどうやって解読したのか

最初の課題は、暗号を解くための文字データを作ることでした。Astraは画像を行ごとに分け、手書きの記号を読み取り、形の違いが別の記号なのか、同じ記号の書き方の違いなのかを整理しました。

続いて、すでに公開されていた部分的な対応表を見つけ、解読の手がかりにしました。残りの記号については、自ら作成したプログラムで対応関係を探索しています。

使ったのは「焼きなまし法」と呼ばれる方法です。記号と文字の組み合わせを少しずつ変え、自然なフランス語として読める候補を探していきます。候補が得られると、元の画像に戻って記号の読み取りも確認しました。

つまり、画像を文章に変換して終わりではなく、読み取りと解読を行き来しながら結果を確かめたわけです。

何が書かれていたのか

解読された内容は、オーストリアとの戦争を前に、フランス軍と同盟軍の配置をマルモンへ知らせる軍事情勢の報告でした。各部隊の位置や兵力を伝え、敵の動きに備えるための情報が記されています。

さらに、周辺の書簡との照合から年代も見直されました。従来は1807年とされていましたが、Church氏は1809年3月の書簡だと判断しています。

暗号を読めるようにしただけでなく、読めた内容を別の史料と突き合わせ、いつ、どの状況で書かれたものなのかまで調べた点が特徴です。

何がすごいのか

Church氏自身は、この暗号について、専門家が十分な時間をかければ解けたものだと説明しています。「人間には解けない暗号をAIだけが突破した」という話ではありません。

注目点は、画像の読み取り、記号の整理、資料探し、プログラムの作成、歴史的な照合という複数の作業を、一連の流れとして進めたことです。

古い資料の研究では、分析に入る前の転記や整理だけでも多くの時間が必要になります。今回の事例は、AIがその準備作業と分析の両方を支援できる可能性を示しています。

どこまで確認されているのか

Church氏によると、Cryptianaを運営する歴史暗号研究者のSatoshi Tomokiyo氏が解読結果を確認し、書簡を解読済みとして扱うよう更新しました。対応表や転記データ、読みを再現するプログラムも公開されています。

一方で、出現回数の少ない記号などには読み方の候補が残っています。本人は書簡全体の意味を変えるものではないとしていますが、すべての語が確定したわけではありません。

今回示されたのは、一つの歴史資料に対するAI支援の解読事例です。結果を再現して調べられる材料が公開されているため、今後は他の研究者も記号の読み方や年代の判断を検討できます。

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