
Google Research、オスのショウジョウバエの神経接続を全て地図化
テクノロジー蝦名樹読了 3分Google Researchは2026年9月、研究機関などと共同で、オスのショウジョウバエの脳と神経索にある神経細胞の接続を網羅した地図を公開しました。地図には約16万6,000個の神経細胞と、約1億2,500万個のシナプス接続が含まれています。
Google Researchは2026年9月、研究機関などと共同で、オスのショウジョウバエの脳と神経索にある神経細胞の接続を網羅した地図を公開しました。地図には約16万6,000個の神経細胞と、約1億2,500万個のシナプス接続が含まれています。
これは脳だけでなく、脳から体へ信号を送る神経索まで含めた、中枢神経系全体の接続図です。研究成果は科学誌『Cell』に掲載されました。
神経細胞の「配線図」を作成
今回作られたのは、神経細胞同士がどこでつながっているかを示す「コネクトーム」です。脳の各部分を撮影した膨大な顕微鏡画像から神経細胞の形を再構築し、細胞同士の接続を記録しました。
地図には神経細胞の種類や位置などの情報も整理されています。研究者はこれを使って、感覚情報が脳内をどう伝わり、運動などにつながるのかを調べられます。
脳と体をつなぐ回路も対象に
これまでのショウジョウバエ研究では、脳全体の接続図などが作られていました。今回の成果では、脳に加えて、昆虫の脊髄にあたる神経索も含めて一つの地図にまとめられています。
そのため、脳内の情報処理だけでなく、脳から体へ指令が伝わる回路も調べやすくなります。たとえば、視覚情報が脳のどの領域まで届くのか、歩行や交尾などの行動に関係する回路がどう構成されているのかを研究する手がかりになります。
接続図は「脳の動き」そのものではない
注意したいのは、今回の地図が神経細胞の接続関係を示すものであり、脳の活動や行動をそのまま再現したものではないことです。神経細胞がいつ、どのように活動するかといった情報は、配線図だけでは分かりません。
そのため、この地図を使えばショウジョウバエの脳を完全にシミュレーションできる、という段階ではありません。実際の行動を説明するには、接続情報に加えて、神経細胞の活動や化学的な性質などを調べる必要があります。
性別による違いを調べる土台にも
オスの神経系全体を地図化したことで、既に公開されているメスの脳の地図と比較し、性別による神経回路の違いを調べられるようになりました。研究では、脳の一部にオスとメスで異なる構造が見られることも示されています。
ショウジョウバエは、神経系と行動の関係を調べるために広く使われている生物です。中枢神経系全体の接続図が研究資源として整備されたことで、感覚、運動、行動をつなぐ仕組みを、より広い範囲で分析できるようになります。


